芯地接着プレスのトラブルシューティング

芯地接着プレスのトラブルシューティング

 

上記の図は接着プレス機のヒーター周りの基本回路です。現実の機械はヒーターが4本、6本、9本といろいろあります。ヒーターが増えるとSSR(ヒーターの電気を入り切りするソリッドステートリレー)も数が増えますが、基本的な構成と働きは同じです。

ヒーターの温度が上昇中のとき、サーモスタットはセンサーを通じてヒーターの温度を調べています。サーモスタットの設定温度に達していない時は、サーモスタットの(5),(6)からSSRの(3)、(4)にDC5-20Vが流れます。そのときにはサーモスタットの表側のサーモランプとSSRのSSRランプは点灯状態です。SSRの(3)(4)にDC電流が流れている間は、SSRの(1)(2)間に電流が流れます。つまり(1)(2)間の電圧は0Vです。(1)(2)は内部で電流が流れているから電圧は0Vになります。

ヒーターにはセンサーが付いており、温度が上がりすぎるとサーモスタット(5)(6)間のDC電流は0Vになり、SSR(3)(4)間も0Vになります。このとき、SSRの(1)(2)間は電圧がかかります。この電圧は仕様によりことなりますが、国内仕様の場合は100Vか200Vです。海外向け仕様の場合は220Vか380Vです。このとき、サーモスタットの表側のサーモランプとSSRのSSRランプは消燈しています。

温度調節器が作動しない

まず、電源を確認してください。
サーモスタットの入力電源は機種により異なりますが、AC100VかAC200Vです。
サーモスタットの入力電圧をテスターで確認してください。
入力電圧が確認できたら、出力電圧を確認します。サーモスタットの出力電圧DC5-20Vが出力されているかどうか確認します。
サースタットに入力電圧がかかっていなければ、サーモスタット自身が故障していなくても作動はしません。

設定温度に対して実温度が上がらない

サーモスタットからSSRに信号が出力されているかどうか確認します。
サーモスタットの入力電圧を確認した後、サーモスタットの出力電圧DC5-20Vが出力されているかどうか確認します。
SSRの動作を確認します。 サーモスタットの設定温度を130度にセットします。SSRの1番2番の間の電圧を測ります。電圧が0Vで あればヒーターに電気が流れているはずです。それでも、温度が上昇しない場合、ヒーターが不良です。ヒーターが複数本ある場合  そのうちの数本が切れている可能性があります。ヒーター切れのチェックはテスターで一本づつ導通検査をしてください。

実温度が設定温度に対して異常に高い

温度センサーの不良。
SSRの不良
温度センサー付のヒーターが切れている。

実温と設定温度の合わせ方

サーモペーパーでプレス機の実温をチェックします。
(例)設定温度が130度のときサーモペーパーの表示した温度が140度のときこのとき実温が設定より10度温度が高いことになります。

アナログサーモスタットの場合
サーモスタットの設定温度を140度に合わせます。サーモスタットの温度補正ダイアルを回して設定温度140度でサーもランプが点滅するようにします。これで、設定140度に対して実温が140度になりました。設定温度を130度にあわせます。サーもランプが130度で点滅するまでまってください。

デジタルサーモスタットの場合
最初に機械の電源を切ります。
サーモスタット正面の取り出しを緩め、サーモスタットの中身を引き出します。内部にDIPスイッチがあります。DIPスイッチのNo4は通常OFF側になっています。No.4のスイッチをON側にします。それ以外のスイッチにはさわらないでください。再度サーモスタットをケースに設置して、電源を入れます。FUNCTIONキーを操作して通常設定温度が表示されているメーターにCn5が表示されたら、温度補正が可能です。

芯地接着プレストラブル・原因と対策

現象 原因 対策
接着芯地のあたり
  • 表素材と接着芯地の熱収縮率の差。表素材の収縮が大きい場合。又は、芯地の 収縮が大きい場合。
  • 低温接着条件で接着する。
  • 表素材になじみやすい芯地を使用する。
しみ出し
  • 薄手素材に対して、接着芯地の樹脂量の多い芯地、又は、樹脂 の大きい芯地を使用した場合。
  • 接着条件、仕上げ条件が強すぎる。
  • 表素材に合った樹脂量及び、樹脂形状の芯地を選定する。
  • 接着条件、仕上げ条件を調節する。
収縮
  • 接着温度が高い。
  • スチーム量が多い。
  • 接着温度を下げる。
  • 工程中のスチーム量を少なくする。
光沢がなくなる。
変色する。
  • アイロン温度が高い。
  • 接着プレス温度が高い。
  • スチームアイロンのスチーム量が多い。
  • アイロン温度を130℃以下にする。
  • 接着プレス温度を130℃以下にする。
  • スチーム量を少なくする。
  • 仕上げプレス、アイロンの時に当て布をする。
コテ光り
テカリ
  • アイロン温度が高い。
  • アイロンの押さえ圧や

プレス圧力が強い。

※前述の作用で光沢がなくなったときは、乾熱アイロンをかけて、光沢を回復させる場合もある。

  • アイロン温度は130℃以下にする。
  • アイロンの押さえ圧やプレス圧力を弱くする。
  • 仕上げをプレス、アイロンのときに当て布をする。
剥離
接着不良
  • 接着条件が低すぎる。
  • 接着芯地の樹脂量の少ない芯地、

又は樹脂の少ない芯を使用した場合。

  • 温度、圧力時間、接着条件を調整する。
  • 表素材にあった樹脂量及び、樹脂形状の芯地を選定する。

 

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